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EBM(EBリハビリテーション)に統計学が重要な7つのポイント!

医学統計学
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最近では「データ○○」という言葉を耳にすることが多くなりましたね。

そして、近年では医学でもエビデンスに基づく医療の提供に伴いデータ分析や統計学が特に注目されています。


統計は臨床での「データ収集→分析→臨床に還元」するために、医学でも重要な役割を果たしています。

EBMの基本となる統計学では、臨床から得られたデータを使って、

  1. 病気の原因やその経過・回復等について理解を深める
  2. 解析結果を踏まえた治療アプローチについての意思決定を行う
  3. 予後等の予測に役立てる

などが挙げられます。

今回、Evidence Based リハビリテーションにおいても、なぜ統計知識が重要かについて考えてみたいと思います。

理由1:記述統計学により全体像を把握する


統計学は記述統計と推測統計に分かれます。その中でも記述統計では取集したデータを視覚的に理解しやすい形に置き換えることで、データの全体を短時間で把握することができます。

また、専門的な統計学知識がない人でも、

  • 要約統計
  • チャート
  • 表やグラフ

を作成したり、理解することは可能ですね。

例えば、臨床で集めたデータを数値でなく、折れ線グラフに描写するだけでも、その全体の経過が容易に把握できますね。

他にも円グラフにすれば割合が把握できます。棒グラフにすれば、頻度の把握が可能です。

理由2:医療従事者の情報リテラシーを高める

私たちは溢れんばかりの情報に過多な情報社会に生きています。論文、テレビ、新聞、雑誌などで紹介される数値や図表を目にしないですね。情報を手軽に手に入れられることの反面、その基礎となるデータを理解していないと、誤解した解釈を招くことになりかねません。

理由3:確率の概念を使ってより良い意思決定をするため

序文でも触れたように、統計学とは確率理論をベースとした学問です。つまり、どの程度の確率で事象が起こるかを研究する学問であるということです。

この確率理論を理解することで、臨床や研究から得られたデータに基づいた治療方針や治療アプローチといった意思決定が容易になります。言い換えれば、経験だけではなく根拠に基づいた意思決定ができるようになります。

例えば、脳卒中患者の予後予測を考えたとしましょう。統計学を使えば、これまでの研究データと臨床症状をベースに、どの時期にどの程度まで回復していれば、ADL自立が可能となるかといった根拠のある予測を立てることも可能ですね。

理由4:P値の呪縛からの解放

統計学を殆ど学んでいなくても「P値」というキーワードを耳にしたことはある!という人も多いほど、統計学においてP値は最重要ワードですね。

一方で、「P値が0.05以下かどうか」というだけで科学的な結論に至るべきではない!と、アメリカ統計協会が声明をだすほど、P値至上主義は根強いものです。

重要なのは、このp値をどう解釈するかです。

そして、エビデンスに基づいた医療とは、"有意差に基づいた医療ではない"ことを理解し、統計学的知識を有用に使って、最善の医療を提供できることが大切です。

理由5:関係を理解するため

統計学の重要な概念の一つに、2変数間の関連性を教えてくれる相関関係があります。

例えば、塩分摂取と高血圧の関係。高血圧/糖尿病と脳血管障害との関係。その他、医学やリハビリテーション分野では様々な相関関係が分かってきています。

この相関関係を正しく理解し、データを読み取ることで臨床症状の把握や患者・家族教育などにも役立出ます。

また日々の臨床の中で、ふとした事から新しい相関関係の可能性に気づくこともあるでしょう。そんな時は、是非、データを集めて新しい関連を証明することも可能になります。

理由6:将来を予測するため

EBMで統計学を使用する理由の一つは、回帰分析により未来の予測をするためです。

回帰分析を使うことで、予測変数の値に基づいた予測が可能となります。

例えば、年齢や運動/感覚障害の程度、FIM等を係数化して歩行自立度や自宅復帰期間の予測などを立てることも可能です。

理由7:研究のバイアスを理解するため

統計知識を理解することで、研究論文を読む際、研究を行う際のバイアスリスクについて常に注意することができます。

例えば、いくつかのバイアス例として、

  • 選択バイアス(Selecion bias)
  • 実行バイアス(Performance bias)
  • 測定バイアス(Detection bias)
  • 減少バイアス(Atrribution bias)
  • 報告バイアス(Reporting bias)

等があります。(詳しいバイアスリスクについては、西山先生の”読んだ論文で注意すべきこと”を参照)

このようなバイアスリスクを理解することで、研究を行う際にバイアスを起こさないようにしたり、研究論文や調査を読む際にバイアスリスクを意識した読解力が身に付きます。

まとめ

以上、7つのポイントがEBリハビリテーションにおいて統計学が重要な役割を果たす理由です。

統計学は見たこともないような数式(公式)がたくさん出てきますね。多くの方はできれば関わりたくないと思ってしまうかもしれません。でも統計学には臨床に役立つ知識がたくさん詰まっていますよ。

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